「訓示的規定」は義務規定?努力義務規定?どっち?

労基/安衛

この疑問は社労士受験生レベルでは、
踏み込んではいけない領域のようです。
試験に出ないし・・・。

語尾の表記上で区別できるか?


義務規定
〜しなければならない
と表記されます。

努力義務規定
〜するよう努めなければならない
と表記されます。

では、

訓示的規定では
「〜しなければならない
「〜するように努めなければならない
の両方の表現があるのです。

労働基準法の1条・2条は訓示的規定ですので見てみましょう。

(労働条件の原則)
法1条
1 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない
2 この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

労働基準法1条

(労働条件の決定)
法2条
1 労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。
2 労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない

労働基準法2条

内容で類型化できるか?

労働基準法1条・2条は「罰則の定めはない」という点においては
努力義務規定に入るように思われます。

では、この1条・2条に従わなくても良いかというと、
むしろ他の条文より(位置付けとして)、重要であったりするのです。

過去問題

【労働基準法の総則に関して】
労働基準法は労働条件の最低基準を定めたものであり、この最低基準が標準とならないように、同法は、この最低基準を理由として労働条件を低下させることを禁止し、その向上を図るように努めることを労働関係の当事者に義務づけている

平成25年 労働基準法 問5 肢B

答え:◯ 正しい



この疑問を解消すべくググり出して、
とある先生の研究論文までたどり着いてしまいました。

一介のブロガーが気軽に手を出してはいけない領域なのだと考え、
調査を中止しました。

参考文献:荒木尚志 「労働立法における努力義務規定の機能」ー日本型ソフトロー・アプローチ?ー 2004年12月

感想

これこそ、単純に暗記しておけ。
「労基法1条・2条は訓示的規定」

ということです。

ついでに

指定をしないことができる。
これは、任意規定と言います。

指定をしてはならない。
これは、任意ではないのですが
何と言うのでしょうか??
”強制”規定???
ご存じの方はご教示ください。

規定(きてい)
物事の仕方や手続き、また概念などを、それに基づいて行為や議論ができるように、はっきり定めること。またその定め。

岩波国語辞典 第4版 1987年

余計なこと

アメリカの法学者ローレンス・レッシグ氏(Lawrence Lessig 1961~)
の有名な「CODE」という本がありますが、
世の中をコントロール(規制)する4つの原理が定義されています。

  1. 道徳・社会規範(Norm)
  2. 法律(Law)
  3. アーキテクチャ(Architecture)(≒構造?様式?設計思想?)
  4. 市場(Market)

上記、書籍を
聞きかじっている人(※)からすると
訓示規定って
法律(Law)でありながら、
道徳(Norm)の範囲にまで
言及して
(足を突っ込んで)
いるように思える。

不思議な規定ですね。

※「CODE」は、分厚く、難解な本です。
私は、挫折しました。

道徳・社会規範(Norm)を
軽視しているという
表れでしょうか?

例えば、
法律違反した企業名を
公表する
というのは
道徳・社会規範(Norm)訴えかけ
市場(Market)で
間接的な規制(≒制裁)させる
という一種の罰ですから、
上記の4つは
お互いに連携し合っている

ということかもしれません。

芸能人・著名人・政治家の
スキャンダルとか
「キャンセル・カルチャー」の
風潮を想起しますね。

以上、最後まで
おつきあいいただき
ありがとうございました。

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