暫定任意適用事業について
(適用事業)
法5条
1 この法律においては、労働者が雇用される事業を適用事業とする。
2 適用事業についての保険関係の成立及び消滅については、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和44年法律第84号。以下「徴収法」という。)の定めるところによる。(適用範囲に関する暫定措置)
法附則2条
1 次の各号に掲げる事業(国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業及び法人である事業主の事業(事務所に限る。)を除く。)であつて、政令で定めるものは、当分の間、第5条第1項の規定にかかわらず、任意適用事業とする。
一 土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業
二 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他畜産、養蚕又は水産の事業(船員が雇用される事業を除く。)
2 前項に規定する事業の保険関係の成立及び消滅については、徴収法附則の定めるところによるものとし、徴収法附則第2条又は第3条の規定により雇用保険に係る労働保険の保険関係が成立している事業は、第5条第1項に規定する適用事業に含まれるものとする。(法附則第2条第1項の政令で定める事業)
令附則2条
法附則第2条第1項の政令で定める事業は、同項各号に掲げる事業のうち、常時5人以上の労働者を雇用する事業以外の事業(国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業及び法人である事業主の事業を除く。)とする。

相変わらず、硬い文章ですなぁ。
人数の数え方を図にしてみた
法令を読むだけでは、分かりずらいので、図にしてみました。
個人経営(A)であって、5人未満(B)の労働者を雇用する農林水産(C)の事業は暫定任意適用事業になります。

この辺りは、お手持ちの愛用テキストを見ながらの
確認をおすすめします。
言い換えると、(A)(B)(C)3つとも全てに該当する事業が暫定任意適用事業です。
そこで、常時5人以上の数え方についての図を示しました。
本題に入る前に、
常時とは、
「年間を通じて」ということで、
「12箇月間で各月ごとに何人いるか?」
という見方をします。
具体例で言い換えますと、
例えば、労働者が10人の月もあれば、4人の月もある
というふうに労働者数が月ごとに凸凹があっても、
1年のうちで1箇月でも4人の労働者の月があれば
常時5人以上とはならないので、5人未満となります。
少し理屈っぽいかもしれませんが、 厳密に言うと、具体例の場合は 常時5人以上にはなりませんが、 10人の月もあるのですから、 常時5人未満にもならないですね・・・。


個人経営・農林水産でも常時5人ピッタリのときは、
5人以上に該当する(含まれる)から
強制適用事業になります。

暫定任意適用事業になるのは
(個人経営&農林水産&)
1人か2人か3人か4人の労働者の月があるときだけ
ですね。

ただし、労働者の退職などにより5人未満となった場合でも、事業の性質上速やかに補充を要し、事業のの規模等からみて5人未満の状態が一時的であると認めれられるときは、5人以上として取り扱います。
厚生労働省資料:雇用保険に関する業務取扱要領
6ページ 20105(5) 「常時5人以上」の意義を参照ください。

機械的(数字上の)判断だけではなく、
個別に事業ごとに、
判断を要する部分もあるということですね。
う~ん。
グレーゾーンですね。

「常時5人未満ならば、
暫定任意適用事業となる」と
言い切ってよさそうです。

常時雇用労働者(5人)のカウントの対象者は
雇用保険適用除外者も含まれます。
(だたし、雇用保険適用対象者がいなくて、
適用除外者のみのときは適用事業として取り扱う必要はないです。)
過去問題
Aの問題が関連問題です。
雇用保険の適用事業に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
平成15年 雇用保険 択一 問1
A 個人経営の水産の事業で、年間を通じて事業は行われるが、季節の影響を強く受け、繁忙期の8か月間は7人の労働者を雇用し、残りの4か月間は2人の労働者を雇用するのが通例である場合、暫定任意適用事業となる。
B 株式会社や有限会社などの営利法人が行う事業は常に適用事業となるが、公益法人の行う事業は、一定の要件に該当する限り、暫定任意適用事業となり得る。
C 同じ事業主が適用事業に該当する部門と暫定任意適用事業に該当する部門とを兼営している場合、それぞれの部門が独立した事業と認められるならば、適用事業に該当する部門のみが適用事業となる。
D 暫定任意適用事業の事業主は、その事業に使用される労働者の2分の1以上の同意を得なければ任意加入の申請を行うことはできず、また、その事業に使用される労働者の2分の1以上が希望するときは、任意加入の申請を行わなければならない。
E 適用事業が労働者の減員によって暫定任意適用事業に該当するに至った場合、その翌日に当該事業について任意加入の認可があったものとみなされるので、事業主が任意加入の認可の手続きを行う必要はない。
答え B が誤り
外部リンク:第35回社会保険労務士試験の解答(厚生労働省)
以上、ありがとうございました。
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