国民年金法のH16年法附則第2条(給付水準の下限)の計算式をかみ砕いてみましょう。
附 則
(給付水準の下限)
第二条 国民年金法による年金たる給付及び厚生年金保険法による年金たる保険給付については、第一号に掲げる額と第二号に掲げる額とを合算して得た額の第三号に掲げる額に対する比率が百分の五十を上回ることとなるような給付水準を将来にわたり確保するものとする。
一 当該年度における国民年金法による老齢基礎年金の額(当該年度において六十五歳に達し、かつ、保険料納付済期間の月数が四百八十である受給権者について計算される額とする。)を当該年度の前年度までの標準報酬平均額(厚生年金保険法第四十三条の二第一項第二号イに規定する標準報酬
平均額をいう。)の推移を勘案して調整した額を十二で除して得た額に二を乗じて得た額に相当する額
二 当該年度における厚生年金保険法による老齢厚生年金の額(当該年度の前年度における男子である同法による被保険者(次号において「男子被保険者」という。)の平均的な標準報酬額(同法による標準報酬月額と標準賞与額の総額を十二で除して得た額とを合算して得た額をいう。次号において同じ。)に相当する額に当該年度の前年度に属する月の標準報酬月額又は標準賞与額に係る再評価率(同法第四十三条第一項に規定する再評価率をいい、当該年度に六十五歳に達する受給権者に適用されるものとする。)を乗じて得た額を平均標準報酬額とし、被保険者期間の月数を四百八十として同項の規定の例により計算した額とする。)を十二で除して得た額に相当する額
三 当該年度の前年度における男子被保険者の平均的な標準報酬額に相当する額から当該額に係る公租公課の額を控除して得た額に相当する額
上記の法律文は、「年金の給付水準が、現役世代の手取り収入の50%を上回るように確保する(下回らないようにする)。」と言うことをおっしゃっているらしいのです。

はぁ?何を言っているのか?さっぱりわかりません。
何をどう計算しているのかもさっぱりわからんのです。
第一号に掲げる額
先に答えを言っちゃうと、
夫婦2人分の満額の老齢基礎年金を、月額ベースで計算しています。
「夫婦2人」とは所得代替率を計算するためのモデル世帯です。
実際に年金を受給するすべての夫婦が満額を受け取れるという意味ではありません。
老齢基礎年金の額
その年度に65歳に達し、保険料納付済期間が480月(40年)ある人に支給される、満額の老齢基礎年金の年額です。
標準報酬平均額の推移を勘案して調整した額
過去から当該年度の前年度までの賃金水準の変化を考慮して、年金額を調整した額です。
どうしてこんなことをするのか?
⇒現役世代の賃金が変化しているのに、年金額だけをそのまま比較すると、世代間の給付水準を適切に比較できないためです。
12で除して得た額
年額を月額に換算します。
例えば年額78万円なら、78万円÷12カ月=月額6万5千円です。
二を乗じて得た額
夫1人分ではなく、夫婦2人分にするためです。
例えば月額6万5千円なら、6万5千円×2人=月額13万円となります。
第二号に掲げる額
夫1人分の老齢厚生年金の額です。
老齢厚生年金の額を十二で除して得た額
老齢厚生年金の年額を月額に換算した額。ということです。
平均的な標準報酬額
(標準報酬月額と標準賞与額の総額を十二で除して得た額とを合算して得た額をいう。)
標準報酬月額:毎月の給与を、等級に当てはめた報酬額。
標準賞与額:賞与を厚生年金の計算対象として扱う額。
12で割る理由:年間の賞与を月額相当に換算し、毎月の給与と合算できるようにするため。
例えば、標準報酬月額が40万円、年間の標準賞与額が120万円なら、次の通り。
40万円 + (120万円/12カ月) = 50万円
再評価率を乗じる
再評価率は、過去の報酬を、年金額の計算に適した水準に換算するための率です。
例えば、報酬額50万円に仮の再評価率1.1を乗じれば、
50万円 × 1.1 = 55万円
平均標準報酬額
再評価率を適用した報酬額を用いて、老齢厚生年金の計算に使う平均標準報酬額を求めます。
■年額を計算
55万円×(5.481/1,000)×480月
=3,014.55×480月
=1,446,984円
■月額に換算
1,446,984円÷12カ月=120,582円
まとめると、夫1人分の老齢厚生年金は、
年額:144万6,984円
月額:12万582円(以後≒12万円として考えます。)
被保険者期間を480月とする
480月は40年です。
モデルとなる夫が、平均的な報酬で40年間厚生年金に加入した場合を想定して、老齢厚生年金を計算します。
12で除する
老齢厚生年金の年額を12で割り、月額に換算します。
第三号に掲げる額
平均的な標準報酬額 : 前年度の男子被保険者の平均的な給与・賞与の月額相当額
公租公課 : その報酬に係る税金や社会保険料などの公的負担
差引額 : 現役男子の平均的な手取り収入に相当する額
例えば、平均的な標準報酬額が月40万円、公租公課が月8万円なら、
40万円ー8万円=32万円
公租公課を差し引くのは、年金の月額と比較する相手を、税金などを差し引いた後の現役世代の収入にするためです。
合算してみる
夫婦2人分の基礎年金 13万円
夫1人分の厚生年金保険 12万円
現役男子の手取り収入 32万円
所得代替率
(13万円 + 12万円)/32万円 = 78.125%
50%を上回っています。
余計なこと
■夫婦で、自営業(個人事業主)で厚生年金保険に加入していない場合は
国民年金13万円のみなので、
(13万円 + 0円)/32万円 =40.625%
です。
■独身で、なおかつ厚生年金保険に加入していない自営業(個人事業主)の場合は
国民年金6万5千円のみなので、
(6万5千円 + 0円)/ 32万円 = 20.3125%
です。
■独身で厚生年金保険に加入している場合は
(6万5千円 + 12万円)/ 32万円 =57.8125%
です。

今まで、年金払ってきたのに・・。

50%を下回ってます。
「現役世代の手取り収入の50%を上回る」とは、あくまでもモデルケースを例にした給付側としての視点で将来確保する最低ラインを示しているにすぎません。
私たち個別(受け取る側)の視点で解釈しないように、(意味を取り違えないように)お気をつけください。
以上、お読みいただきありがとうございました。

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