「やりがい搾取」について、考えてみた。

労基/安衛

やりがい搾取とは


経営者が支払うべき賃金や手当の代わりに、労働者に「やりがい」を強く意識させることにより、本来支払うべき賃金(および割増賃金)の支払いを免れる行為をいう。

Wikipediaより引用

この言葉2007(平成19)年ころから言われ始めたそうです。
やりがいを盾にとって、安い賃金で働かせるために労働の動機づけにすることを指す言葉です。
給料は労働に対する対価なのだから、割増賃金の支払は必要です。

精神的疲労度が高い労働環境

やりがいを盾に取る大きな弊害は、労働者の不満を言い出せなくしてしまう点です。
これは過労によるうつ病などを発症しやすい労働環境を作ってしまうことにつながります。

労働者へ劣等感を植え付ける

雇われる側の者は、「それでも仕事があるだけ幸せ」「お客様からの感謝」「実務の勉強」「貴重な経験」など賃金以外に得ているものがあると自らの本当の気持ちを押さえて、我慢しがちです。
あるいは自分でもそう思っているかもしれないが、本当はきちんと割増賃金を払ってくれるところで働きたいはずで、この会社に雇われていなければ、きちんとした会社に雇ってもらえていたかもしれない。

1人前の人間が貰えるはずの給料を、自分は貰えていないという自尊心を損なわせ劣等感を植え付けてしまう点も見逃してはなりません。


ブラック企業からは一刻も早く転職しましょう。機会損失です。
と巷で叫ばれるのはこういった事情かなと思います。

ワーカホリックを自慢していた時代は土台があった。

「お客様あっての会社、社会貢献、スキルUP、自分自身の勉強になる。」
あるいは、「私が仕事が遅いから、遅れを取り返さないと・・・。」
と”サービス残業”したことありませんか?

私はそんな経験したことはないです。
などと、”綺麗事”は申し上げません。

多かれ少なかれ、いや、いたるところで、昭和世代は体験したり、
見聞きしてきているのではないでしょうか?

私も、管理監督者でもないのに、頑張っちゃった思い出、
社長さんに頼まれて業務と関係ない雑用を手伝った思い出、
休日出勤を毎週していた思い出もあります。
クリスマス、お正月でも、ワーカホリックな頃がありました。

バブルの頃は、慰安なのか?接待なのか?仕事なのか?
(色々だったと思いますが・・・)


先輩たちの「昨日徹夜で寝ていないんだ。」という武勇伝は、頻繁に耳にしたものです。
当時のビジネス書籍の中などにも何の躊躇(ちゅうちょ)も無く経験談が書かれていました。

「24時間働けますか。ビジネスマ~ン。ビジネスマ~ン。」というコピーのテレビCMが堂々と流れていたのですから、そのような働き方をしても、十分な「何か」を雇う側が約束できていた時代だったのだと思います。

「何か」とは、出世だったり、抜擢だったり、終身雇用だったり、組織が永続する事を前提とした”見返り”だったような気がします。
つまり、「やりがい」の土台である「何か」が、絶妙なバランスを保ちサービス残業・ワーカホリックを成立させていたのです。
「先輩、一生先輩について行きます。」と言える背景(や土壌)があった感じですね。

働き方改革に無関心で大丈夫か?

しかし、2020(令和2)年に「終身雇用は限界。一律は無理。」と
経団連の(中西宏明)会長がおっしゃたことなどを踏まえると、
土台となる「何か」を新たに作らないと最低限のモチベーションのバランスが保てません。

政府がすすめる働き方改革は、労働力不足や働く方のニーズの多様化に対して
「一億総活躍社会の実現」を目指すという内容になっていると思います。

何を隠そう今まで私は、
「ふ~ん、そうなんだ。いつかは、ウチも働き方改革しなければならないのかなぁ。」
徐々に多くの会社の義務になってきますね。
くらいの感じで捉えていました。

ボーっと

これでは間違いなく
「ボーッと生きてんじゃねえよ。」
チコちゃんに叱られてしまいます。

◆もしも、私が今の時代で、雇われサラリーマンだったら、・・・。

雇われ新米<br>サラリーマン
雇われ新米
サラリーマン

先輩、一生先輩について行きます。

雇われ<br>デキる<br>サラリーマン
雇われ
デキる
サラリーマン

「いやそれは困るよ。」「一生面倒はみれない。」「ついて来るな」



◆2もしも、私が”悪い”(弱い)社長さんだったら、・・・。

雇われ新米<br>サラリーマン
雇われ新米
サラリーマン

社長、一生社長について行きます。

ワンマン社長さん
ワンマン社長さん

「よし。いいカモが見つかった。」
または「いい社員が見つかった。」



雇われサラリーマン社長さんの考え方の違いは、
立場が違うため(権限と責任の範囲の違い)であって、
人の善悪の違いでは無いように私は考えています。
(多少脚色が加わっています。
大多数の優良会社の社長さん、ご容赦ください。)

普通のサラリーマンの知識として
もしも、会社とトラブルがおきたら・・・
裁判外紛争解決手続(行政ADR)というのがあります。
(Alternative Dispute Resolution、略してADR)
行政へ相談してみましょう。

「社長さんの思い」を悪しき伝統としないために

雇われサラリーマンであれ社長さんであれ、
「やりがい」だけでは通用しなくなったことに、敏感になって
少なくとも、しっかり、手当(報酬)が支払われているか
管理監督者側で確認しておくことは必要です。
(特に、アルバイトさんや未経験中途採用者の人などは
ただでさえ低賃金になりがちなので、確認が必要です。)

放っておくと・・・
「やりがい搾取」は、法違反なので労働基準監督署から指導(是正勧告)が入ります。


「自分が若いころは・・・。」という陥りがちな思考(精神論)から抜け出せず、
手を打てない会社は遅かれ早かれ、首が締まります。

次の兆候は、モチベーションが「やりがい」一辺倒の会社の一例のようです。

  • 雰囲気が妙に前向きで、従業員を鼓舞する感じの経営者。
  • 経営者が精神論に偏りがちで、前のめり。
  • 深夜まで残業は当たり前の社風。
  • 残業代込みの基本給になっている。

モチベーションの中で「やりがい」はどんな会社にとっても、
とても大切なのは言うまでもないことなのですが・・・。

やりがい以外を担保する

「やりがい以外」で社員に報いるもの
(働き方・報酬・組織体制・人材・制度など)に
見直しをかけて、整備をすすめることが肝要に思えます。
政府が進める「働き方改革」はこのような部分で
会社側を後押ししていると捉えることも出来そうです。

そして、これらのことは、
社労士さんが業務上関わりを持ち
影響を与えられる(啓蒙できる)分野のように思いました。

具体的には何をすればいいのか?

こういう表彰制度があります。
「ダイバーシティ経営企業100選」(経済産業大臣表彰)
事例がありますので、参考になると思います。

「ホンダ CITY」なら知ってるよ。
デザインが秀逸だったねぇ。

「お台場だいば」のことかな・・。
新宿アルタしか行かないからなぁ。

お台場レインボーブリッジ

ダイバー(潜水士)の住む都市だな。
Diver +city

正しくは、
Diversity(だヴぁ:せてぃ)→多様性(variety)
だそうです。

以上、ありがとうございました。

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