行方不明は遺族給付開始まで地道に7年かかる

健保/年金

地道に7年?
意味不明です。

これを読むと、
行方不明の場合
遺族に対する給付(※1)を
どのくらいの期間
待たねばならないのか?
「死亡の推定」と「失踪宣告しっそうせんこく」について、
区別できるようになる
かもしれません。

※1 遺族に対する給付の種類は次の通り
・労災保険法(遺族補償年金など)
・国民年金法(遺族基礎年金など)
・厚生年金保険法(遺族厚生年金など)

船舶・航空機の事故
「地に足のつかない」事故
 ⇒「死亡の推定」

船舶・航空機以外の事故
(例:山登りでの滑落事故など)
「地に足のついた」事故
 ⇒「失踪宣告」
とでは
同じ行方不明でも
遺族給付開始まで費やす期間が
異なっています。

そこで、
行方不明
(死亡が確認されない)死亡(?)の
取り扱いを図にしました。

図表

推定(すいてい)する
・ある事実に関して反証が成り立つまでは、それを正当と仮定すること。
 (「新明解国語辞典」)
・反論を許すが、反証がない限りは推定された通りに認定されること。
 (「法律版 悪魔の辞典」 大西洋一

引用元は()で表示

(見做す)
・これこれだ、と判定または仮定する。
・法律的には、「推定する」と区別して、Aとは元来性質の異なるBを、その法律関係においては同一視することを「AをBとみなす」と表す。

岩波国語辞典

覚え方

語呂・駄洒落・連想など

死亡の推定

脂肪しぼう(死亡)はゆるんでしまう。
それでも
腹は
いて~(推定)」しまう

死亡の推定は
推(すい)から水(すい)を連想して
水(みず)からまでたどり着いて
舟へん(ふねへん)
舶と空機
じかい「み~」から

失踪宣告

7年も経ってから
受給するので、
家計は
minus:

マイナス」

地道に
7年後に
「みなす」

失踪宣告しっそうせんこく
「みなすからなっすをぬきだしてもいい。

なっす
東北方面の方言での敬語表現で語尾につくことが多い。

ちなみに、
みなすを「みな(37)す」と連想したら、
3だか7だか
訳が分からなくなりますので・・・。
7を強めで
「なっす」でおねがいします。
(今回も、不完全な語呂合わせ・・・スミマセン。)

がい「な~」から

逆から連想

3箇月から「推定」を連想して
7年から失踪宣告「みなす」を連想する。

全部忘れたら

どっちがどっちだったか?
でこんがらがったら、
短い「み~」
長い「な~」
区別しましょう。

過去問題

どういう事故か?

自動二輪車でヨーロッパ大陸横断中に行方不明になり、その者の生死が3月間分からない場合には、行方不明となったその日にその者は死亡したものと推定される。

平成18年 国民年金法 問4 ーB

答え:× 誤り
3カ月は短い→死亡の推定→推定は水→船舶・航空機のみ
自動二輪車は対象外なので、誤り。

死亡日がいつか?

死亡の推定

船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となった際現にその船舶に乗っていた労働者又は船舶に乗っていてその船舶の航行中に行方不明となった労働者の生死が3か月間わからない場合には、遺族補償給付、葬祭料、遺族給付及び葬祭給付の支給に関する規定の適用については、その船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となった日又は労働者が行方不明となった日に、当該労働者は、死亡したものと推定することとされている。

平成27年 労災保険法 問5 ーD

答え:〇 正しい
「行方不明になった日に」
「死亡したものと推定する

行方不明となった航空機に乗っていた被保険者の生死が3か月間わからない場合は、遺族厚生年金の支給に関する規定の適用については、当該航空機の到着予定日から3か月が経過した日に当該被保険者が死亡したものと推定される。

令和1年 厚生年金保険法 問6 ーA

答え:× 誤り
「3カ月が経過した日に」が誤り。
正しくは、
「行方不明になった日に」
「死亡したものと推定する

失踪宣告

民法の規定による失踪宣告があり、行方不明になってから7年を経過した日が死亡日とみなされた場合、死亡を支給事由とする給付の支給に関する規定の適用における生計維持関係、被保険者資格及び保険料納付要件については行方不明になった日を死亡日として取り扱う。

平成26年 国民年金法 問2 ‐C

答え:〇 正しい
7年を経過した日が死亡日とみなされる
けれども・・・、
「生計維持関係、
 被保険者資格、
 保険料納付要件
(この3つ)については」
「行方不明になった日」
判断する

なお、(あんまり出題されていないけれど・・・
身分関係(婚姻関係等)や年齢要件、障害の状態については、
失踪宣告日死亡したとみされた日7年間の期間満了)
を基準にして取り扱うそうです。

場合は、
行方不明になった日

死亡したとみなす日
で7年の開きがある。
納付要件等の状況判断する日
残された受給権者の年齢を判断する日
異なるっちゅうことですね。

余計なこと


差がありすぎでしょう。
(日数換算して、91日と2,555日で、だいたい28倍の開きがあります。)

「死亡の推定」の
3箇月って・・・どこから出てきた数字なんでしょうね?
28年漂流したロビンソン・クルーソー(※)を参考にしてはいないことは確実です。

※ロビンソン・クルーソー
1719年 ダニエル・デフォーが書いた冒険小説
「ロビンソン・クルーソーの生涯と奇しくも驚くべき冒険」に出てくる
架空の人物。
無人島で28年間過ごし、帰国するお話。

「失踪宣告」の
7年間っていったら、
幼稚園児が中学に入学してしまうのですが。
どこから出てきた数字なんでしょうね?

みな()まで言ってしもうた。

以上、ありがとうございました。

外部リンク(参考資料:YAMA HACK)遭難のお金の話を聞いてわかった、登山者がやるべきコト

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