言葉の定義が独特なのが
健康保険法の報酬と賞与です。
なので、
私の場合、
日常の知識を
前提にして理解しようとすると、
かえってわかりにくくなるように思います。
報酬とは(法3条5項)
この法律において「報酬」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び3月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。
健康保険法3条5項
いかなる名称であるかを問わず・・・
給与、賃金、賞与、お駄賃、お年玉、心付け、お礼
何という名目であっても良い。
労働者が
労働の対償として受けるもの
すべて。
(報酬から除いて良いもの) ただし、臨時に受けるもの(Aとします) 及び 3月を超える期間ごとに受けるもの(Bとします) は、この限りではない。
賞与とは(法3条6項)
この法律において「賞与」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのもののうち、3月を超える期間ごとに受けるものをいう。
健康保険法3条6項
いかなる名称であるかを問わず・・・
給与、賃金、賞与、お駄賃、お年玉、心付け、お礼
何という名目であっても良い。
労働者が
労働の対償として受けるもののうち
3月を超える期間ごとに受けるもの(B)。
臨時に受けるものとは、(という定義)は、どこにいったのか?
臨時に受けるもの(A)は
報酬でも、賞与でもない。
具体例としては、
退職金(退職を事由とする)です。
過去問題
被保険者の在職時に、退職金相当額の全部又は一部が報酬又は賞与に上乗せして支払われる場合は、報酬又は賞与に該当するものとみなされるが、事業主の都合により退職前に退職一時金として支払われるものについては、報酬又は賞与に該当しないものとされている。
平成16年 健康保険法 問1 ーA
答え:〇 正しい
前半部分について
:いかなる名称を問わず・・・ですので、上乗せするなど前払いされる場合は、報酬又は賞与に該当する。
後半部分について
:退職を事由に支払われる退職金で、事業主の都合等により退職前に一時金として支払われるものについては、報酬又は賞与に該当しない。
退職前であっても退職事由の退職金は
一時金→臨時に受けるものに
該当する。
概要まとめ
健康保険法では、 労働の対償として受けるものは 名称を問わず・・・ 1.報酬(法3条5項で定義) 2.賞与(法3条6項で定義) 3.それ以外(臨時にうけるもの) がある。
「臨時にうけるもの」の定義する条文がないのですねぇ。
名前が無い状態ですなぁ~。
それぞれの境目(さかいめ)を
意識するのがよろしいかもね。
中村雅俊さんが歌う
「日付変更線」
「想い出のクリフサイド・ホテル」
は1985(昭和60)の
刑事ドラマ「誇りの報酬」の
エンディングテーマでした。
ちなみに、厚生年金法の報酬についても同様です。
法3条
厚生年金保険法3条 3項4項
1 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
三 報酬 賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受ける全てのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び3月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。
四 賞与 賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受ける全てのもののうち、3月を超える期間ごとに受けるものをいう。
以上、ありがとうございました。
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