労働基準法二〇条違反の解雇の効力が争われた事例(上告棄却、労働者敗訴)
細谷服装事件(再判第2小昭35.3.11)
使用者が労働基準法第20条所定の予告期間をおかず、又は予告手当の支払いをしないで労働者に解雇の通知をした場合、その通知は即時解雇としては効力を生じないが、使用者が即時解雇を固執する趣旨でない限り、通知後同条所定の30日の期間を経過するか、又は通知の後に同条所定の予告手当の支払いをしたときは、そのいずれかのときから解雇の効力を生ずるものと解すべきであって、30日経過により解雇の効力が発生したとする原判決は正当である
裁判までの経緯
(脱税を目的とする)
二重帳簿作っといてな。
労働者
そんなことはできません。
そうなん。じゃ、あなたクビ(解雇)。
昭和24年8月4日
30日経過:昭和24年9月3日解雇
解雇予告手当&遅延利息支払います。
昭和26年3月19日
「解雇効力の発生」
労働者
今頃、解雇予告手当払うのですか。
それでは、今まで1年8月間(昭和24年から昭和26年まで)従業員だったということですよね。
未払い給料の請求権があるので、請求します。
ついでに付加金(※)も請求しちゃうもんね。
最高裁判例:昭和35年3月11日最高裁判
※付加金とは、労働基準法114条に定められている。違反に対する一種の制裁のこと。
付加金の支払義務は、使用者が解雇予告等を支払わない場合に、当然発生するものではなく、労働者の請求により裁判所が支払いを命ずるものであるため、たとえ法廷の支払期限に所定の金額が全額支払われていなくても、労働者が裁判所に訴えるまでに全額が支払われれば、付加金の請求をすることはできない。
感想(脱線)
そもそも、発端となった「二重帳簿」は裁判の論点ではないのですね。
労働者は使用者に社会的な制裁を与えたくて裁判したのかなぁ?
お前の正義はどっちだ?お前はどっちの味方だ?の言い合いが目に浮かびます。
「どっちもどっち」事件ですね。
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