免罰的効力の問題
この問題は、何を聞いているのやろか?
書いてあることがさっぱり、わからん。
平成24年度 労働基準法 問5-D
労働基準法第36条は、時間外又は休日労働を適法に行わせるための手続を規定したものであるから、時間外又は休日労働命令に服すべき労働者の民事上の義務は、同条に定めるいわゆる36協定から直接当然に生ずるものではない。
答え:○ 正しい
「労働基準法上の労使協定の効力は、その協定に定めるところによって労働させても労働基準法に違反しないという免罰(めんばつ)効果をもつものであり、労働者の民事上の義務は、当該協定から直接生じるものではなく、労働協約、就業規則等の根拠が必要なものである」とされている。
36協定は、単に免罰効果を有するにすぎない。
ということいが、分かっているかどうか?
を問うているんだ。
労働協約、就業規則、労働契約などに定めがあれば、義務を負うのでしょうか?
そんなところじゃ。
判例を見てみるか。
いやいや、その前に免罰効果って何ですのん?
ほいじゃ、それも後でやろか。
判例(日立製作所武蔵工場事件)
これ手抜作業ですよ、残業して、手直してください。
それは、ちょっと、嫌です。
(明日やるからいいでしょ。)
えっ。じゃ、懲戒処分にします。
もう、懲戒処分3回ですよ。
何回、同じことを繰り返すのですか。
懲戒解雇にします。
懲戒解雇は無効でしょう。
裁判じゃ。
平成3年11月28日最高裁 判決理由より抜粋
〔労働時間-時間外・休日労働-時間外・休日労働の義務〕
労働基準法32条の労働時間を延長して労働させることにつき、使用者が、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合等と書面による協定(いわゆる36協定)を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出た場合において、使用者が当該事業場に適用される就業規則に当該36協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば労働契約に定める労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨定めているときは、当該就業規則の規定の内容が合理的なものである限り、それが具体的労働契約の内容をなすから、右就業規則の規定の適用を受ける労働者は、その定めるところに従い、労働契約に定める労働時間を超えて労働をする義務を負うものと解するを相当とする。
従業員から個別に同意を得なくても、就業規則の内容が合理的なものであれば、包括的に同意したものとして、会社は時間外労働を命じることができるようになります。また、従業員は会社の残業命令に応じる義務があります。
つまり、この会社は就業規則に労働時間の延長について規定があったんですね。
そういうことに、なるな。
免罰効果・免罰的効力
36協定を締結して、労働基準監督署に届け出ることによって、法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超えて勤務をさせても、労働基準法違反にはなりません。
これを、「免罰効果」とか「免罰的効力」と言うておる。
(36協定を締結しても、届け出しないと労働基準法違反です。監督署から是正勧告が行われて、・・・6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)
労使協定は、就業規則のように労働契約を規律する「規範的効力」はありません。労使協定は、罰則の適用を受けないという「免罰的効力」を持つに過ぎず、労働者への強制力はないのです。
36協定も労使協定のひとつですので、免罰効果しか持たないのです。
36協定の上限※を超えたらどうなるの?
36協定が無効になる。 →免罰的効力が生じないので、
・労基法32条(労働時間:1週40時間、1日8時間を超えて労働させてはならない。)
・労基法35条(1週1休日の原則:毎週すくなくとも1回の休日を与えなければならない。)
の違反となる
(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)
働き方改革の一環として、2019(平成31)年4月1日施行の改正で、罰則を設け規制することとされました。(それ以前は、法律上、時間外労働の上限の規制はなかったのです。)
※36協定の上限とは、以前ちょっとだけ書いた臨時的限度時間です。
詳しく知りたい方は厚生労働省のページを参照ください。こちら。(時間外労働の上限規制)
・ 労使協定は、罰則の適用を受けないという「免罰的効力」を持つに過ぎない。
・労使協定そのものには、労働者への強制力はない 。
・強制力には労働協約、就業規則等の根拠が要る。
と覚えれば、試験でなんとかなるやろか?
不安じゃ。
本日も、ありがとうございました。
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