「現代のヒューマニズム」務台理作 著 岩波新書
前半部分の紹介をします。
(同時に自分自身の備忘録として、記しておきたいです。)
ジャンルは哲学者に分類されるようだが、
難解なイメージの岩波新書の中でも、
比較的読みやすい文体で書かれています。
私が驚いたのは、論理的な飛躍が少ない文章で
書かれていることです。
しかし、しっかり読み下すには、
脳みそにしっかり汗をかく内容です。
思想としてのヒューマニズム
思想は行動への可能性を伴うため、
思想と行動は両輪でなければダメ(空虚)です。
行動の可能性を含むとは、 「人間的なもの」と 「非人間的なもの」を 正しく区別し 非人間的なものから人間を守る 一切の行動、 人間疎外からの人間回復ついて必要な 一切の行動進んで人類の幸福のために 全体的人間の実現をはかる一切の行動 の可能性を含むという 意味だそうです。
思想としてのヒューマニズムとは
映画を見て感動し涙するが、映画館を出たら、
それはそれ、これはこれとういう気持ちで
もう忘れてしまうような
観照的なヒューマニズムとも区別してください。
個人主義ヒューマニズムとも区別してください。
なぜなら、人間だれしも、感情を伴うのがつねです。
個人主義ヒューマニズムや
教養本位ヒューマ二ズムは
はそのままでは、
思想としてのヒューマニズムにまで
高まることができない。
としています。
思想になるための4段階
思想へ到達するまでには4段階があり、
それらの積み重ねから生まれるとしています。
1.実感:生活意識
実感に根ざしている。社会的正義を踏みにじることへの反発。ムード。
2.意見:生活意識の上に立つ意見の現れ
さまざまな相違した意見。同一人物でも、その時と場合によって都度異なる意見を持つこともある。
3.イデオロギー:世界観思想
自分だけではなく他人の行動の可能性を含む。
世界観思想の中に階級意識、身分意識、職能意識、地域意識を反映している。
唯物論V.S.観念論について 被支配者側:唯物論VS権力者側:観念論で是非を論ずるのは間違っている。 それぞれの立場で都合がいい考えを用いているのだから。 水掛け論になってしまう、 これらは理論的体系的な思想とはいえない。 なぜなら、 ・公開性が成立していない。 ・思想の構造と思想の過程がよく反省されていない。
4.意識から認識への昇華
123を反省的に総合して、
社会科学、自然科学、世界歴史と倫理学によって媒介されて
上昇して、理論を深めていく段階。
感想
現在、私は思想としてのヒューマニズムの域には達していないなぁ。
実感と意見が段階としてあり、
これらがベースに積み重ねられていく。
イデオロギーの
成り立ちの流れがイメージできました。
日々の生活の中で、イデオロギーなんて
常々考えたりしないけど、
一市民の個人レベルでは
基本となる「実感」を研ぎ澄ます
日々の鍛錬が重要に感じます。
ウクライナの紛争報道を見て、
ヒューマニズムを刺激している点では
どちらの側の主張も共通しています。
興味深いです。
ウクライナ紛争の
世界歴史の答えが出るまでには
相当の年月がかかると思いますが
今は心静かに
一個人での、ジャッジを控えたいと感じます。
追伸
1961(昭和36)年の初版当時、
この本は130円であったのに驚きました。
安い。
以上、抽象的なお話にお付き合いいただき、
どうもありがとうございました。
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