これを読むと、
社会保険労務士試験の
頻出項目である目的条文の
「福祉の向上」と
「福祉の増進」の違いに
ついて、理解できる
かもしれません。
案外、
丁寧に説明しているもの
(講師orテキスト)
はいないのが実情~。
結論から先に記すと、
私は、
「福祉」の概念を
理解していませんでした。
クイズ
次のグループは目的条文の2大派閥です。
さて、どんな点でグループ化されているのでしょうか?
答え
- Z会グループは「福祉の増進」
- さんまのお笑い向上委員会グループは「福祉の向上」
同じ福祉でも、目的条文の中で、増進と向上で使い分けがされています。
増進(ぞうしん)
三省堂 国語辞典 1997年
〔能力などが〕前よりまして、いっそうよい状態になること。
また、そういう状態にすること。
「学力増進」「体力増進」
「健康/食欲/学力が増進する」
新明解 類語辞典 2019年
向上(こうじょう)
三省堂 国語辞典 1997年
程度の高いほうへ向かうこと。
いいほうへ向かうこと。
「実力が向上した。」
「地位/生活水準の向上」「向上心」
新明解 類語辞典 2019年
感想
無理やり区別するならば、
増進のほうが、
向上よりも、
積極的な(?)
主体的な(?)
意気込み的な(?)
力が込められている
印象を受けます。
Z会グループの親玉は雇用保険法と労災保険法ですね。
さんまグループの親玉は健康保険法と厚生年金保険法かなぁ。
高年齢医療確保法や介護保険法がZ会グループで
健康保険法と同じさんまグループに属さないのは意外。
社労士法と船員保険はさんまグループ。
特定職業系はさんまちゃん。
まずは、覚えやすい方を覚えましょう。
例えば、さんまグループを覚えて、
それ以外はZ会グループとしても良いかもね。
余計なこと(福祉とは?)
福祉(ふくし)
新明解 類語辞典 2019年第3刷
社会の一員としてもたらされる幸福。
「公共の福祉」「福祉国家」「福祉施設」「福祉年金」「社会福祉」
普段あまり深く考えずに使っている
「福祉」は「幸福」という意味です。
敷衍するなら・・
(ちょっと
この文章読んでください。
1950年代ー1970年代の歴史解説本です。)
成長の速度が速かったということは、それだけ格差も広がったことを意味している。
一国の内部にももちろん格差は存在するが、福祉という所得再配分制度を有する国家の場合、それをある程度是正することは可能である。
特に先進資本主義国では、成長の時代に福祉国家体制が生まれ、格差是正機能がそれなりに働く社会になった。ところが、主権国家から成り立つ国際社会には、そのような格差是正機能は存在しない。
岩波講座世界歴史26 構造と展開 古田元夫
(P.5)
「経済成長と国際緊張の時代ーはじめにー」より引用
1999年発行
上記の文章を読みますと
(古田さんの考えに沿うならば)
「福祉」という概念は、
①「国家」という体制の枠の中で用いられ
②「格差是正機能」を有するものである
と気づかされます。
「〇〇保険料高いよ~」と
ボヤク場合、
たいてい
その国の政治問題(分配の問題)
に行き着くのはそのためなのでしょう。
外部リンク
さんまのお笑い向上委員会
Z会
皆さん
福祉の増進
福祉の向上
の解像度が上がったでしょうか?
実際の出題はこんなに、簡単じゃない
さぁ、これまでの知識をもとに過去問題を見てみましょう。
国民健康保険法第1条では、「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて
〇〇〇及び〇〇〇に寄与することを目的とする。」と規定している。1.社会保険及び国民福祉の向上
2.社会保険及び国民保険の向上
3.社会保障及び国民福祉の向上
4.社会保障及び国民保険の向上
平成6年 社会保険に関する一般常識(選択式)問5ー3
答え:4.社会保障及び国民保険の向上
こういうイレギュラーをあえて
出題するんですねぇ~。
悲しいかな。
出題者の方が、
1枚も2枚も上手なのです。
それでも勉強を続けようと思う方だけ、
お付き合いください。
以上、ご覧いただきありがとうございました。
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