「遡(さかのぼ)って支給停止」どうやるの?

労災/雇用

遺族(補償)年金や遺族基礎年金など
遺族に対する給付の支給停止で疑問に思うことを
記しています。

その所在が明らかでない間、さかのぼって
その支給を停止する。
という、支給停止という方法が決められています。
しかし、
「遡(さかのぼ)って支給停止」なんてどうやってやるのか?
素朴な疑問が湧いてきます。

クイズ:遡って支給停止

さかのぼって支給停止する方法は次のどの方法か?

1.タイムマシンを使い過去に戻る。
2.所在不明者が(生存していて)見つかったら本人に返還請求する。
3.所在不明者の親族が肩代わりして返済する。

答え:2
所在不明の期間は受給権がなかったとみなされるため、実際は本人(所在不明者)が返還する(らしい)。
本人
本人

本人(が生きていれば)
本人に返還請求される。

誰の為に遡るのか?

労働基準局長通達(抜粋)を紐解いてみました。(以下赤枠参照)
どうやら「遡(さかのぼ)る理由」は、
同順位者または次順位者を守るため
であるらしきことが推測できます。


四 遺族補償年金
(八) 所在不明の場合
受給権者の所在が不明であるときは、その者について財産管理人が置かれない限り、当該保険給付については支払を差し止めることとするが、遺族補償年金については、その受給権者の所在が一年以上不明である場合には、同順位者があるときは同順位者の申請により、同順位者がなくて後順位者があるときは次順位者の申請により、所在不明の間(所在不明となつたときにさかのぼり、その月の翌月分から)その支給を停止する。支払差止めは、受給権者が所在不明であるかぎり職権で行なうことができるが、支給停止は、申請がない限り行なうことができない。支給停止をした場合には、受給権者が所在不明となつた時にさかのぼつて、他の同順位者のみが受給者となるか、又は次順位者が最先順位者となつて受給権者となる(法第一六条の五第一項及び第二項、第一二条の三第二項)。
所在不明によつて支給停止をした場合において、同順位者があるときは、同順位者に支給する遺族補償年金の額は、所在不明者及びその者とのみ生計を同じくしていた受給資格者に係る加算額分を減額して改定することとなる(基本額は、所在不明者を除いた同順位の受給権者間で等分することとなる。)同順位者がなくて次順位者に支給される遺族補償年金の額は、受給権者となつた次順位者の人数に応じて再計算することとなる。

支給停止を受けた所在不明者は、いつでも支給停止の解除を申請することができる(法第一六条の五第二項)から、その者の所在が明らかとなつても、申請がない限り、支給停止を解除する必要はなく、また、支給停止を解除したときは、その解除の月の翌月分から支給を再開すればよく、所在が明らかとなつたときにさかのぼることを要しない。

受給権者以外の加算対象者が、所在不明となつたときは、所在不明の間は受給権者と生計を同じくしているとはいえないので所在不明となつた月の翌月分から、その者に係る加算額分を減額して年金額を改定すべきこととなる。

労働者災害補償保険法の一部を改正する法律第三条の規定の施行について

要するに、
「一旦、対象となる支給額は
満額を返しなさい。」
ということです。

減額と言いながら個別に見たら増額のケースもある

ちなみに、所在不明及びその者とのみ生計を同じくしていた受給資格者についての加算分を減額して改定することになる。

これ、遺族の数が減るので、遺族補償年金の額の算定基礎日数は減るのですが、
遺族補償年金を受ける権利を有する者が2人以上あったときは、遺族補償年金の額は
その人数で除した額となるのだから
所在不明者により残された方が同順位者だった場合、
同順位者への給付額は、所在不明者がいたときと比べて
増額になっていることになります。

感想

こういう素朴な疑問は、試験には全く出題されないので、
資格学校の講師の方は説明してくれないようです。
講義時間に制約がある関係上、仕方ないことかと思います。

以上、ご覧いただき、ありがとうございました。

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